「リリアーヌ、お前のような『偽聖女』は我が国には不要だ。婚約を破棄し、追放する!」
聖女でありながら魔力なしの「無能」という烙印を押され、冷遇されてきたリリアーヌ。
だがそれは、婚約者の第一王子・エドワードによる「目立つな、無能でいろ」という命令を忠実に守っていただけだった。
裏では不眠不休で山のような書類を片付け、騎士たちの傷を癒やし、国の結界を一人で維持してきたリリアーヌ。
現場の騎士やメイドたちは彼女を「真の聖女」と慕っていたが、傲慢な王子だけがその価値に気づいていなかった。
すべてを失い、隣国の国境で力尽きた彼女を救ったのは、冷徹と噂される隣国の第一王子・アルフレッド。
「恩返しに、少しだけお手伝いをさせてください」
身分を隠し、平民の侍女として働き始めたリリアーヌ。
だが、彼女にとっての「少し」は、隣国の人々にとっては「神の奇跡」そのものだった!
「君のような逸材を、今まで放置していた元の国は正気か……?」
次第にアルフレッドからも、国中の人々からも執着に近い溺愛を受け始めるリリアーヌ。
一方で、彼女という「たった一人の支柱」を失った元の王国は、翌日から事務が麻痺し、結界が崩壊。地獄と化した王宮で、王子は初めて己の過ちに気づくが――。
「無能でいろと言ったのは、殿下、あなたでしたよね?」
今さら戻ってこいと言われても、もう遅い。
私は新天地で、優しい王子様と一緒に、今度こそ幸せになります。