平凡なサラリーマン、相馬巧(そうま
たくみ)は、連日の激務の末、あっけなく過労死した。
――はずだった。
次に彼が目覚めたのは、月面に浮かぶ謎の観測ステーション。目の前には、グレイ・グーと名乗る陽気な宇宙人がいた。
「いえーい!
君は地球代表に選ばれました!」
グレイ・グーは告げる。銀河中の文明が集う「銀河コミュニティ」で、地球のような未熟な文明を保護するルールを撤廃する『対等干渉決議』が可決されてしまった、と。
これにより、地球は宇宙のハイエナ共の格好の餌食となった。市場を狙う巨大企業帝国、弱者淘汰を目論む過激な戦闘文明……。そんな魑魅魍魎が跋扈する宇宙を相手に、地球が生き残るための猶予はわずか10年。
巧に課せられた使命は、たった一人で地球文明を導き、10年後の「星間会議(ミーティング)」までに、銀河と対等に渡り合える星間文明へと成長させること。
「失敗しても君のせいじゃないからね!」
あまりにも無責任なエールを残して、グレイ・グーは消え去った。
残された武器は、サラリーマン時代に培った交渉術と処世術、そしてナノマシンで再現された超高性能な身体(擬体)のみ。
これは、宇宙で最も過酷なプロジェクトを丸投げされた、一人の男の奮闘の記録。
相馬巧の、地球の存亡をかけた孤独なネゴシエーションが、今始まる。