――さようなら、大好きだった人。
伯爵令嬢ソフィアは、婚約者のエリックに冷たく扱われていた。かつて誰よりも優しかったエリック。笑い合った日々は遠い夢。妹のシャーロットに優しくする姿を見るたび、胸の奥に小さな棘が刺さる。
そんなある日、シャーロットに持ち上がったのは――冷酷と恐れられる辺境伯レオナルドとの縁談。
涙ながらに拒む妹の代わりに、ソフィアは嫁ぐことを決心する。
辺境の土地で待っていたのは、無口で鋭い瞳を持つ青年。彼の態度は冷ややかで、まるで「来るべきではなかった」と告げているようだった。ここでもまた、誰にも望まれないのだろうか。そんな不安が、ソフィアの胸にそっと影を落とした。
けれど、熱に浮かされた夜に差し出された手の温もりが、すべてを変えていく。少しずつ、確かに、心を通わせていき――やがて二人の間には愛が芽生える。
だが一方で、かつての婚約者のエリックは失ったものの重さに気が付いて……。
暫くの間、毎日12時頃に更新予定!