異世界で魔王軍を討ち滅ぼし、世界を救った元日本人・春日。
女神から「英雄として異世界に残るか」「現世に帰るか」の選択を与えられ、彼は、たった一人の家族である妹の元へ帰る道を選んだ。
──しかし。
目を覚ますと、そこは静まり返った病院。
街に人影はなく、代わりに徘徊していたのは……ゾンビだった。
どうやら春日が異世界で戦っている間に、現代日本はゾンビパンデミックによって崩壊していたらしい。
ゾンビだらけの終末世界。
絶望しかない状況だが──
「……いや。ゾンビなんて、今更何体いてもザコだしな」
魔法、身体強化、戦闘スキル。
そして無限収納《イベントリ》に詰め込んだ異世界武器と物資の数々。
ゾンビ相手には完全にオーバースペックだ。
そんな中、山中で出会ったのは、ゾンビに追われて逃げてきた女子高生・茜。
兄と訪れていたキャンプ場でパンデミックに巻き込まれ、地獄のような夜を生き延びてきた、生存者だった。
異世界帰りの元勇者と、終末世界に取り残された少女。二人はゾンビだらけの日本で、生き抜くための行動を開始する。
襲い来るゾンビ。
不足していく食料。
生き残った人間同士の衝突。
そして、やがて現れる“変異体”。
──それらすべてが、大した脅威でもない。
世界観がズレすぎている男による、のんびり(?)終末サバイバル譚。