宮廷修繕士ルカは、派手な魔術を使えないという理由で王宮を追放された。
だが彼の【修復】スキルは、ただ壊れた物を直すだけの力ではなかった。
行き着いた辺境で、ルカは今にも崩れそうな宿を営む未亡人女将ミラと出会う。
雨漏りする屋根、壊れた井戸、冷えきった厨房。
一晩泊めてもらう代わりにそれらを直しただけなのに、宿には聖水が湧き、古い暖炉には失われた温もりが戻り、森からは傷ついた神獣まで転がり込んできた。
さらに、王都から逃げてきた訳あり令嬢、無口な獣人少女、癒しを求める旅人たちが次々と集まり、ボロ宿はいつの間にか辺境一の癒し宿へ。
一方、ルカを追放した王宮では、彼が陰で支えていた魔導具が次々と壊れ始めていた。
「戻ってこい」と言われても、もう遅い。
俺には、直したい宿と、帰りを待ってくれる人たちがいる。
壊れた家も、壊れた人生も、全部あたたかく修復していく。
追放修繕士の辺境宿スローライフ、開幕。