「この世に並び立つ者なき皇帝よ、私は人か、それとも妖なのか?」
大昭国を統べる皇帝、風演の前に、欧陽玲という名の女が献上された。
欧陽玲は人間の母と、千歳の齢を重ねた猿神を父に持ち、一つの体に『玲』と『雪瑜』という二つの心を持つ、多重人格者である。
自分が人なのか妖怪なのか、苦悩する乙女が発した問いに対し、皇帝は居並ぶ百官の前で朗々と告げた。
「汝は人間であり、我が臣民である」
この答えに感動した雪瑜は皇帝に心酔し、その寵を得る為、そして帝業の一助にならんとして、後宮で策謀を巡らせる。
しかし、もう一方の人格である玲は、皇帝の元に居てもかつての許嫁を忘れることができずにいた……。
宮廷を舞台にした、二つの心を持つ女の愛憎劇。
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