王国唯一の《神癒の聖女》アズマリアは、傷や病を癒やす力しか持たないことから、「回復しかできない役立たず」と蔑まれていた。
王国には、魔物の軍勢を焼き払う《紅蓮の聖女》、雷で飛竜すら討つ《轟雷の聖女》、大地を揺るがす《衝撃の聖女》など、強大な攻撃魔法を操る聖女たちが存在する。人々は彼女たちを英雄と称え、戦えないアズマリアを"出来損ないの聖女"と嘲笑した。
魔王軍との戦いが激しさを増す中、「戦えない聖女など不要」と判断した王国は、第二王子との婚約を一方的に破棄し、アズマリアを神殿から追放してしまう。
すべてを失ったアズマリアが辿り着いたのは、魔物被害と飢饉に苦しむ辺境伯領だった。
傷ついた村人を癒やし、枯れた大地を蘇らせ、呪われた森を浄化していく中で、辺境伯や騎士団は彼女の力が単なる回復魔法ではないことに気づく。
それは生命そのものを再生し、大地を甦らせ、呪いさえも打ち消す神代の奇跡――《神癒》。
彼女が力を振るうたびに荒れ果てた辺境は豊かな大地へと生まれ変わり、魔物は姿を消し、精霊や聖獣までもが集う"奇跡の領地"へと発展していく。
一方、アズマリアを追放した王都では異変が続発していた。
聖なる結界は急速に弱まり、疫病が蔓延し、大地は枯れ、各地へ魔物が侵入する。さらに、《紅蓮》《轟雷》《衝撃》をはじめとする攻撃系の聖女たちの力まで衰え始める。
そこで王国は初めて知る。
これまで聖女たちが全力で戦えたのも、王国の結界が維持されていたのも、国土が豊かだったのも、すべてはアズマリアの《神癒》が国そのものを支え続けていたからだったのだと。
滅亡の危機に陥った王国は、王族や神殿の最高司祭までもが辺境へ赴き、アズマリアへ涙ながらに帰還を懇願する。
しかし――。
「私を必要としてくれる人たちが、ここにはいます。今さら王都へ戻る理由はありません」
これは、役立たずと見捨てられた少女が、本当の居場所で大切な仲間と家族に出会い、神に愛された奇跡の力で辺境を世界一の聖地へと発展させ、やがて世界を救うことになる、追放×辺境発展×溺愛ファンタジー。
※この作品は「アルファポリス」にも同時投稿しています。