女性が冷遇された時代に、自立した女性が活躍するお話です。
14世紀フランスの、実在する城塞都市を舞台にして庶民の生活を描きました。
1310年、地中海に面した南フランスの城塞都市アイガ・モルタス。
若くして都市の一等地に店舗を構える理髪外科医のエリザベートは、同業者からの嫉妬と嫌がらせに悩まされていた。
ある日、都市の付近で狼が目撃され、都市内に緊張が走った。人々は「異端の教えを崇拝する悪魔憑きは、満月の光を浴びると狼に変身する」と信じており、恐怖が広がっていく。
理髪職人組合は夜警を結成することにし「各店舗は男を一名出すこと」という条件を定める。女一人で店を経営するエリザベートは、夜警に男を参加させなければ組合から除籍処分にすると脅され、困り果てる。そんな時、都市の外から移民希望の少女ヴァンがやってくる。
エリザベートはヴァンを徒弟として雇い、男のフリをして夜警に参加するよう頼んだ。ヴァンは快く引き受けてくれた。
だが、隣人が占星術でヴァンの未来を占うと「壁の崩壊」により「繁栄をもたらす」という結果が出てしまう。さらに後日、ヴァンの出身の村が、何者かに襲撃されて全員殺されていたことが発覚する。
ヴァンは悪魔憑きの仲間だろうか? 都市内部から城壁を壊そうとしているのではないか?
エリザベートはヴァンに対する疑念にさいなまれ、彼女を信じたい気持ちとの間で苦悩する。