小学二年生の夏、ドイツ人ハーフの少女・香澄クラウディアは、父の転勤で引っ越す直前、公園でたまたま出会った少年・越智素直と忘れられない時間を過ごした。
同級生に「変」と笑われていた自作小説を、素直だけが「面白い!」と真っ直ぐに褒めてくれたのだ。
たった二週間の交流。けれど、その優しさはクラウディアの胸に深く刻まれた。
――絶対に、あの人にもう一度読んでもらえるような小説家になる。
そう誓ったクラウディアは数年後、本当にプロ作家としてデビュー。中学二年で受賞した作品は大ヒットし、三巻で累計百万部突破という快挙を成し遂げる。
そして高校入学の春、クラウディアは地元に戻り、ついに素直と再会を果たす――が、彼は交通事故によって過去の記憶をすっかり失っていた。
思い出してもらえない悲しみと、それでも変わらない恋心。彼女は自分の中で膨らみ続ける想いをウェブ小説という形で密かに書き続けていた。
やがて二人は同じ文芸部に所属することになり、運命は再び交差する。
これは、ラノベ作家の夢を叶えた天才美少女作家と、記憶をなくした元読者の少年が綴る青春ラブコメ。