三十歳、独身。毒親に縛られ、ブラック企業で心を殺して働いてきた私は、人生の最期に「もう二度と人間になんかなりたくない」と願って事故死した。
その願いは女神に聞き届けられ、私は美しい精霊界で、数百年ぶりとなる「闇の上級精霊」として転生する。
労働も納税もしがらみもない、ふわっふわな綿菓子のような雲の上で、最高のニート生活を満喫しようとした――その矢先。
強引な光に引きずり込まれ、私は人間界の侯爵家に「契約精霊」として召喚されてしまう。
「なんだ、この黒い煤(すす)の塊は」
「期待していた高位の精霊どころか、こんなゴミを呼ぶとは。やはり出来損ないの娘だな」
召喚主は、わずか五歳の侯爵令嬢・シャルロッテ。
過干渉な継母、妹を馬鹿にする義姉、誠実を装いながら見て見ぬふりをする父親。
精霊力が不安定なせいで「無能」と蔑まれ、かつての私と同じ「絶望の瞳」をした少女だった。
生まれたての私はまだ力が弱く、見た目はただの『黒い毛玉』。
周囲からは「ハズレ精霊」と嘲笑され、シャルロッテの立場はさらに悪くなってしまう。
――けれど、彼らはまだ知らない。
闇とは恐怖ではなく、安らぎを与えるだけではない超有能属性であることを。
「シャルロッテ。私と一緒にレベルアップして、一緒に奴らを見返してやりましょう」
これは、人間に絶望した精霊と世界に見放された少女が、二人で最強の絆を育み、自分たちの「居場所」を勝ち取っていく逆転ファンタジー。