「普通に、静かに生きたい」
櫻坂幸が望んでいたのは、それだけだった。
人の視線が苦手で、誰かと深く関わることを避けてきた幸は、私立光陽学園でも目立たずに過ごすつもりでいた。
――入学式の日、一つの紙飛行機が届くまでは。
『入学おめでとう、幸ちゃん♡』
聞き覚えのあるピアノの旋律。
四年ぶりに再会した幼馴染。
そして、忘れたかった記憶。
新しく出会う人々もまた、それぞれに傷や言えなかった想いを抱えていた。
他人と関わることを避けてきた幸も、彼らと過ごすうちに、少しずつ自分の過去と向き合い始める。
過去に傷ついた少年少女たちが、互いの痛みに触れながら、もう一度誰かを信じようとする青春群像劇。
失ったものを抱えたまま、それでも今日を生きていく。