王国でも指折りの名門・レオノール家に生まれた令嬢アリエル。彼女の人生は、継母リディアと義妹セリーナの策略によって地獄に変わる。婚約破棄、冤罪、家族の死、そして公開処刑――。
死の刹那、世界が静止し、“嘆きの書記官”と呼ばれる異形の存在が告げた。
「書き換えられた運命を、もう一度書き直しますか?」
時は巻き戻る。アリエルは微笑んだ。「ええ、すべてを正しく壊してみせます」
ただし条件はひとつ――「この人生で殺した者の数だけ、次の人生が苦しみになる」。
それでも彼女は選ぶ。策略・毒・剣・異能〈因果断絶〉を駆使し、貴族社会の頂点を血で染め上げる。
そして、すべてを終えたその後。
彼女は新たな世界で“普通の少女”として目覚める――前世の記憶を封印されたまま。
穏やかな学園、友情、恋。
だが微睡む記憶の底から、紅い瞳が笑っていた。
「──ああ、思い出した。私、あなたを殺したのね」
二度目の人生をも呑み込む因果の渦。
“正義の悪”を生き抜く令嬢の、永遠の復讐譚が幕を開ける。