死んだら、好きだったゲームの世界にいた。
前世は救急医・田中マリ、三十五歳。不眠不休の激務をこなしながら、唯一の癒しは乙女ゲーム。睡眠不足のまま交通事故に遭い、気がつけば異世界の平民少女として目を覚ます。
転生先はあのゲームの世界――しかし自分はヒロインではなく、王都への立ち入りすら叶わない身分だった。
それでも彼女には、三十五年分の医学の知識と、ゲームを隅まで知り尽くした記憶がある。
薬草師として頭角を現し、噂が噂を呼び、気づけば王都の貴族たちが彼女のもとへやってくる。攻略対象の五人は次々と彼女に惹かれてゆくが、マリの心に決めた相手はただ一人。
前世から恋していた、あの人だ。
平民から成り上がった少女が、乙女ゲームの筋書きをぶち壊しながら、自分だけの結末を掴みに行く。