公女エリーナ・ヴァレンタインは、高貴で完璧な存在として領地で生活していた。彼女の婚約者セリオン・カーヴァルとの縁談も順調に見えたが、ある日、セリオンから突然「婚約破棄」を告げられる。
だがエリーナは驚くことなく、「喜んで応じます」と微笑む。重荷となっていた婚約から解放された自由に胸を躍らせる彼女。セリオンはその堂々たる姿に戸惑い、心の奥では「止めてほしかった」と密かに願っていた。
二人の関係は微妙に揺れ動く。社交界での舞踏会や貴族邸宅での駆け引き、領地での生活、嫉妬や誤解、互いを思う心……。完璧で自由なエリーナに圧倒されつつも、セリオンは次第に彼女の存在なしでは生きられないことに気づく。
領地と都の社交界を舞台に繰り広げられる、皮肉と恋に満ちた恋愛物語。婚約破棄という思わぬきっかけから始まった二人の物語は、やがて愛と自由の中で交わり、互いの本心に気づいたとき、真の幸せを手に入れる――。