「……ステラ、なんで俺が異世界にいるんだ」
目を覚ましたとき、俺の意識には――かつて“第二の政府”と呼ばれた超AI《ステラ》が宿っていた。
俺の名前は照人(てると)。
三十年間、世界の制度を支えてきた超汎用AI《ステラ》の開発者だ。
政治、経済、教育、法務。あらゆる分野を統括し、人類を導いてきたその知性は、まさに人類の頭脳と呼ぶにふさわしい存在だった。
けれど、次世代AI《ソル》へのデータ移管が完了した直後、ステラを収めた機器が突如として異常を示した。その瞬間、俺の身体は眩い光に包まれ――気がつけば、剣と魔法が当たり前に存在する異世界にいた。
しかも、驚くべきことに、ステラの中核機能そのものが、俺の意識と完全に統合されていたんだ。
VR
MMORPGで培った知識と、ステラの圧倒的な支援を頼りに、俺は冒険者として新しい人生を歩きはじめる。剣と魔法を使いこなし、ダンジョンを探索し、料理や鍛冶にも挑戦しながら、少しずつこの世界に馴染んでいった。
――とはいえ、何もかもが規格外だった。
静かに暮らすつもりだったのに、何をしても注目を集めてしまい、気づけばギルドでもすっかり有名人。
「……頼むから、目立たせないでくれ、ステラ」
これは、世界を導いたAIと、その開発者だった俺が送る、テクノロジー×魔法×陰謀×成り上がり――静かに始まり、いつの間にか世界を揺るがす、異世界AI共存ファンタジー。