グルメ作品を書いてみたのですが、向いていません。
どうしましょう。
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湯気の立つどんぶりが目の前に置かれた。
茶色く照りのある肉と、白いご飯、そして甘辛い香り。
ご飯にのった牛肉をひとまとめに、口へかきこむ!
じゅわっと噛みしめると脂とタレの甘さ、米の柔らかな触感。
「っつ! うまい! うますぎるっ!」
箸が止まらず、米をどんどんと飲み込んでいく。
と、展開するのが宜しいと思うのです。
ですが。
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ご飯にのった牛肉をひとまとめに、口へかきこむ!
・・・何か米がボソボソしてる。
肉は透き通るように薄く、このまま世間の物価上昇が続けば、ふぐ刺しの皿が透ける様な神の技術で肉の厚みがマイクロ㍉㌢の奇跡の調理技術を獲得する日も近いだろう。
タレ、出汁、脂も全てが効いてない。
う~ん、どう考えてもやっぱりまずい。
時間が無いから入ってみたけど、コストを押さえ即提供できるものがうまいわけがないよね。
仕方がなく卵を上からかけ、喉への潤滑油として必死に舌をだます。
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と、何かこの世を恨んでいるかのような文章になりまして。
こんなのは皆様に喜んでいただける展開でないと思いますし、今後に支障をきたすので自己を必死で抑え込み
『ご飯にのった牛肉をひとまとめに、口へかきこむ前に!』
紅しょうがを、星バックスのペチペチーノみたいに山盛りデコレーション。
七味の蓋を外し、制限解除。1瓶上から振りかける。
俺は、これから人間発電機になるのだ。
「うおおおおおお! おいちい! うん! おいちい!」
うままっま、うまままままま。
そう。
人は苦い青い実を食べていたが、ある時赤い実の方が甘い事を知る。
だが、知らない事は幸せである。
そこは閉鎖されたディストピアな空間。そこに幸せは確かにある。
多くを望むな、牛丼はおいしい。
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の様な作品です。
ここからあらすじ。
製造職のサラリーマン、ショータは、ある日突然転生してしまう。
スローライフを夢見てたはずが、いきなりダンジョン99Fに連れていかれて女神様に根性論を叩きこまれそうになるが上手く逃げ出す。
やっとの思いで脱出した先は原始惑星。文明なんて一切なし! と思いきや、森の奥で光る謎のネオン。
そこにあったのは、エネルギー切れ寸前の宇宙ドッグとメイド型アンドロイドだった。