『魂導の紋章師
―死者の声と歩む者―』
魂は、ただ死んで終わるものではない。
この世界では、“記憶”という形で残り続けている。
紋章師リアン・アルステッドは、魂と対話する特別な紋章《魂の導き手》を持つ青年。
人々の記憶を刻んだ魂に触れ、真実を掘り起こすその力は、時に世界の歪んだ歴史さえ明らかにしていく。
共に旅するのは、200年以上を生きた銀髪の戦士・サラ=レイヴェル。
死を運ぶ鳥と呼ばれたその剣は、かつて数々の戦場を越えた伝説の生還者。
けれど今はただ、青年の背を静かに守っている。
古代の遺跡、滅びた都市、そして戦火に消えた兵士たちの魂。
リアンはその“声”に導かれながら、過去に葬られた真実と対峙していく。
だが、魂の記憶はただの記録ではない。
痛み、怒り、愛情、そして希望――
触れた者の心すら変えてしまう、感情の奔流だった。
これは、“死者の魂を継ぐ青年”と、“彼を見守る不死の剣士”が、
世界に刻まれた《記憶の迷宮》を巡る、再生と赦しの叙事詩。
「……君の記憶を、俺が導く。たとえ、誰にも届かなくても」
かつて戦争に散った騎士の想い、忘れ去られた歴史、隠された紋章――
すべてが交差するとき、青年は問いかける。
「魂は何のために、残り続けるのか?」