仕事の契約が月末で切れる事になった。
失意の中、帰宅する。明日は休みという事もありフラフラと繁華街の方へ向かう。適当な居酒屋に入って、お酒を浴びるほど飲んだのがいけなかった。
帰り道、私は地下鉄の階段の最上段でこけ、体が宙に投げ出された。周りの風景がスローモーションのように流れていき最後に強い衝撃を覚えた。
周りの人達の悲鳴や喧噪はもう耳に入らず、私は意識を失った。
目が覚めると見知らぬ部屋の中。
「アルメリーお嬢様!お気づきになったのですね?」
誰ですそれ?それにあなたは誰?こんな高級そうな所、宿泊代幾らかしら?……想像すると怖くなる。
咄嗟に周囲をまさぐってみるが一切の所持品・ケータイが無いという事実が急に世界から隔絶された気分になり、一層の不安をかき立てる。
そこへ中世の貴族風な中年が現れる。
「おお……わしの可愛い愛娘よ。大事ないかい?」
どうやら私は、なぜか不明だけどこの人の娘らしい。自分の立場が分かると、少し心に余裕ができた。
彼の話を聞くと、『ザール王立学院』や他にも覚えのある単語が……。
近くの鏡を覗き込むと、そこには私ではない美少女の顔が映り込んでいる。
……この顔どこかで……そうよ!『夢色の遥か -Alone
with
youー』のヒロインみたいじゃない!?それに、ザール王立学院ってゲームの舞台の学院の名前だったような……もしかしてこの世界は!?
そこへ母親らしき人物が入ってきて、私が色々と問題児だった事を告げられ、さらにメイドから一言。
「明日、王立学院にご入学です」
周囲に味方がゼロの状態で入学って事!?……この子ってどんだけ問題児だったの!?
そして翌日、入学式に臨む。
式場の壇上に居並ぶ生徒会の面々が、あのゲームで見覚えのある攻略対象達そのまま。
だけど、そこで私が運命的な出会いをしたのは主人公に立ち塞がる『ラスボス』たる、悪役令嬢のランセリア公爵令嬢だった!
私が攻略対象と親密になっても、誰とも付き合わない選択をしても、彼女は『断罪』される運命を背負わされてる気がする。私だけが知っている未来の可能性。
知っているのに行動を起こさないなんて、そんな人でなしな事は出来ない!
入学したばかりの今なら、まだなんとかする時間はあるはず。
必ず私が彼女を救ってみせる……!
Pixivにも同作を投稿しています。