山深き崖にそびえる壮麗なる館、玲瓏館。そこに住むのは黒く艶やかな髪と、透き通る玲瓏たる魔力を纏う少年、エルハルト・フォン・シュヴァルツベルク。今日も彼は、玲瓏館の怪しく灯る魔力に魅せられて、迷い込んだ愚かな子羊どもに――――ボコられていた。
わからせる者とわからせられる者、そのおこぼれを狙う者。牙を持たぬ者は生きてゆかれぬ暴力のダンジョン、玲瓏館。今宵も彼は神が過ぎ去りし悠久の地で、時にはRTA走者にボコられ、時には従者に逆パワハラをされ、時にはネットで晒し物にされる。この地獄の中で、彼が望むものは何、求めるものは何。
恋、涙、友情、家族愛、そして加齢臭のする糞みてえなギャグ。
平成のギャグとラブコメをコンクリートミキサーにかけてブチまけた玲瓏館で、主とメイド達は今日も生きる。
彼らと交わるのは勇者と、ネームドと、そして名もなきモブたち。
やがて主は彼らにも名があることをわからされた。
変わりゆく世界の中で、主たちの運命もまた、時計の針を刻み始める――
※この作品はカクヨム様でも掲載しています