俺は死んだ。
病気だった。どうにもならなかった。
だから最後に宝くじを買った。当たった。
全部、ゲームに突っ込んだ。
――ラスボスになって俺は死んだ。
……はずだった。
目が覚めたら、そのラスボスになっていた。
巨大な魔王城。
忠誠心MAXの部下たち。
誰も近寄らない沼地。
静かに暮らすには、最高の環境だった。
ただ一つ問題がある。
人と話そうとすると声が出ない。
視線も合わせられない。
コミュ障。
自分でもなぜかわからない。
なのに――俺が黙っているだけで、
「この沈黙……すべてを見通しておられる……」
「無言でアイテムを渡すとは、なんという深謀遠慮……!」
「逆らえば終わる……」
全部、勝手にいい方向に解釈される。
違う。何も考えてない。
ただ、地下室で静かに本を読んでいたいだけなんだが。
それなのに、適当にアイテムを整理しただけで帝国が震え上がり、適当に相槌を打っただけで教会がひれ伏し、気づけば魔王として世界に認識されていた。
――ただ、静かに生きたいだけなのに。
これは、最強のラスボス(中身はコミュ障)と、深読みしすぎる忠誠心MAXな部下たちが織りなす、静かでズレた笑える日常の物語