この物語は、結婚までの数年間だけ官僚として働くつもりだった侯爵令嬢が、七つの川と人々を束ね、自らの公爵家を興すまでのお話。
セイラ・ヴェルディアは、地方行政を学んだ侯爵家の次女。
数年だけ官僚として実務を学び、その知識を将来は婚約者の領地で役立てる――そんな人生を当然のものとして受け入れていました。
しかし、初任地として赴いた沈み野《アネガード》は、書類とはまるで違う土地でした。
修復済みのはずの堤防は傷み、倉庫は空。復旧予算は消え、台帳からこぼれ落ちた住民たちが飢えている。
さらに、自治都市、辺境軍、船団、避難民、水没した村――それぞれが異なる権利と事情を抱え、七つの川は別々に管理されていました。
セイラは同期のアマンダ、ライモンドとともに、飢饉、洪水、密輸、国境危機へ立ち向かいます。
けれど、土地を立て直すほど、一つの問題が浮かび上がります。
彼女たちには、七河全体を治める正式な権限がない。
家へ帰れば、家族と婚約者に守られた未来が待っている。
それでもセイラは、自分の力を誰かのために使うだけの人生ではなく、自分の判断に自分の名で責任を負う道を選びます。
結婚までの数年間だけ官僚をするはずだった侯爵令嬢が、やがて帝国初の女公爵――セイラ・エクスィードとして歴史に名を刻む物語。
――記すのは、わたくし、ラトゥナ・ケートでございます。