社会に何の希望も見出せず、競馬が趣味のフリーター。
大藤・一喜は社会的な負け組でありつつ、他者への関心を極限まで薄めた上で日々を静かに過ごしていた。
ある日、彼は食べ物を買いにスーパーへ向かう道がおかしいことに気付く。
普段の道は荒れ果て、目的地には見知らぬ廃墟が存在し、慌てて戻れば自身が住むアパートも半壊状態のままとなっていた。
しかし扉を開けると、そこは普段の自分が暮らす空間そのものだったのだ。
訳の解らぬ状況。再度開けた先の景色は彼の知るもので、しかし週末に扉を開けると見知らぬ世界に繋がっている。
そこから始まる都市伝説のような日々。
見知らぬ怪物、見知らぬ組織。全てが知らぬ世界を彼は元の世界で調べ、唯一怪物や組織が特撮番組・メタルヴァンガードと同じ存在であることを突き止めた。
そして、突き止めたと同時に彼の人生は急転換を起こし始める。
これは彼が偽りの英雄になる物語。表裏を欺く男が作り上げた、壮大な喜劇だ。