春のコートをあわてて引っぱり出すような陽気のある日、「私」の目の前に突然、一人の女性が現れた。彼女はひたむきで、一生懸命で、見ているだけで背筋が伸びる。だけどその姿は、どこか危うげな予感がして――
それぞれの主人公の前に登場する「彼女」との、ときにあたたかく、ときに心揺さぶる日々を描いた短編集。ストーリーはほぼ実際の季節に合わせて進み、一年かけて季節を一周します。
タイパ重視のこの時代に、あえて時間をかけて、ひとつの物語を追ってみませんか――？
※各エピソードは独立した物語となっており、どのエピソードからでもお読みいただけます。