この作品はフランス革命前後の処刑人(ムシッシュ・ド・パリ)が主人公です。
フランス革命前後の史実に基づく、サイコスリラーヒューマンドラマです。※残酷描写あり※
【あらすじ】
1981年、フランスで死刑が廃止された夜。
“ムッシュ・ド・パリ”――国家公認で世襲されてきた死刑執行人の父は、息子に一冊の私記を渡す。
私記の主は、医師であり処刑人でもあったシャルル=アンリ・サンソン。
革命前、「悪党」を次々と裁くその手際に、鬱屈した民衆は歓喜していた。
国王ルイ16世は、旧特権を揺るがす“解放”の政策に踏み出していた。財政難の打開と国家の立て直しのため、特権階級に閉じられていた政治参加を広げ、議会(身分制議会)へ平民の声を通そうとする。
サンソンは、特権を改革しようとする王としてのルイ16世を尊敬し、王権派として誇りを抱いていた。
そして機械と理屈を好み、錠前作りに没頭する王は、善意から「死刑から苦痛を取り除く」ための発想――“ある道具”の発明に関わる。
国王の理想から生まれた苦痛を取り除く「ある道具」の発明と、革命という激流によって、サンソンは救う手と殺す手の境界を失っていく。
平民の解放のエネルギーはデマに導かれ、王権そのものを終わらせる「フランス革命」へ転じる。
民衆の喝采の中心で刃を落とす役目が、日に日に彼の胸を軋ませていく。
【フランス革命】
特権から“解放”された平民。しかし現実は、期待通りに整然とは進まない。噂とデマが恐怖に火をつけ、群衆の正義は暴走し、解放のエネルギーは王権を打倒する。その後、自由・博愛の下『恐怖政治』が始まる。
【登場人物】
・シャルル=アンリ・サンソン:医師/処刑人。私記の主。王権派としてルイ16世を敬う。
・ルイ16世:改革を模索する王。機械好きで錠前作りの趣味を持ち、死刑の苦痛を減らす発想に関わる。
・マリー・アントワネット:ルイ16世の王妃。オーストリア(ハプスブルク家)から嫁ぐ。
【用語】
・ムッシュ・ド・パリ:パリの死刑執行人の通称。国家公認の役目として革命後も世襲される。
・身分制議会:旧体制下で身分ごとに構成された議会(平民の声をどう通すかが争点となる)。
参考:ミシェル・フーコー『監獄の誕生――監視と処罰』/アンリークレマン・サンソン
『サンソン家回顧録』