公爵令嬢リリアナ・ド・ヴァルフォードは、ある日突然、
「聖女への不敬」という曖昧な罪で断罪される立場に置かれた。
証拠はなく、
あるのは印象と噂、
そして「神託」という疑えない言葉だけ。
だが彼女は、取り乱さない。
前世で弁護士だった記憶を持つリリアナは、
感情でも復讐でもなく、
ただ一つの問いを置き続ける。
――それは、裁けるのか。
証言の曖昧さ、
記録の不備、
神託が人の手を通るという事実。
静かな問いは、やがて断罪の前提そのものを揺るがしていく。
派手なざまぁも、明確な悪役もいない。
けれど、裁きは止まり、
「誰も簡単には裁けなくなる」世界が残された。
これは、
正義を振りかざす物語ではない。
裁かれないために、言葉と理性を手放さなかった
一人の令嬢の静かな逆転劇。