一目惚れした少女は悪役令嬢だった。
落馬事故の衝撃で思いだしたのは、自分には前世があるということ。ついでに乙女ゲーム『救国の聖女と愛の奇跡』の世界に、攻略対象の1人『ワガママバカ王子』として生まれ変わっていたことまで発覚してしまった。
せっかく転生はしたものの、国は王家が威厳をなくし、政治腐敗の蔓延る泥舟状態。
そんな国の王太子であるクライエスがおバカ王子を返上しようにも、そんな真似をすれば“将来は傀儡の王である自分”を期待する周囲から、命を狙われる確率が跳ね上がることが確定している。謂わば詰んだ状態。
他の攻略対象達も、そのままの状態なら国の将来を脅かしかねない問題児揃い。
唯一まともなのは、ライバルキャラの悪役令嬢なのだが、彼女はどのルートでも最終的に没落、国外追放、修道院行き、処刑のどれかが待っている。
一目惚れして無理を通して婚約者に指名したのはクライエスだというのに、あんまりな結末。彼女をそんな理不尽な結末に追いやりたくない。
そしてあわよくば、政略結婚という名目でしぶしぶ婚約してくれた彼女から、愛を得たい。
その為にはアカデミー入学前に、なんとしても現状を改善し、無事に生き残らなければならない。
これは初恋の出だしを失敗した王子が、せめて婚約者を悪役令嬢にしないようにと奮闘し、過程で王家の威信を取り戻していく物語。