エリアス・ヴァルベルツ・クロイセルは、その夜、生涯をかけた賭けに出た。
王子の誕生祝賀会。国中の貴族が見守る中、エリアスは十一年来の婚約者・ヒルデガルト・ノル・パシュケルトを前に宣言する。「婚約を解消する」と。
その直後、場に輝く一人の令嬢が現れる。男爵令嬢・ゾフィー。魔女が告げた『真実の愛』の相手。エリアスは迷いなく彼女へと歩み寄り、指輪を差し出す。ヒルデガルトには一瞥もくれず。
——だがその瞬間、ヒルデガルトは静かに動き出していた。
これは、二人が仕組んだ舞台。
物語の始まりは七歳の頃。魔力過多で普通の人には触れられない筈のエリアスに、ヒルデガルトだけは触れられることがばれてしまったあの日から。
「ではヒルデガルト嬢、早速婚約者としての共同作業といこうではないか」
「お任せください、私これでも一般的な七歳児より多少口が回りますゆえ。可愛げのない理詰めと可愛げのある感情論とどちらをお好みで?」
「出来れば王室と侯爵家の両方に利がありと納得させるもので」
「了承いたしました、可愛げのある理詰めといたしましょう」
破天荒な天才魔術師と真面目な優秀王子が巻き起こす(多分)溺愛ファンタジー!