母は、変わった人だった。
思いつきで琵琶湖を一周し、ママさんバレーで天下をとると豪語する。
そんな破天荒な母が、私が中学生の時に、事故であっけなく死んだ。
「おかえり」のない玄関。色のない食卓。
静止した時間の中で、私の高校生活は淡々と過ぎていくはずだった。
――あの日、彼女が帰ってくるまでは。
「ただいま。ちょっと向こうで世界を救ってくる」
死んだはずの母が、11歳の少女の姿で現れた。
しかも、異世界から。
家の冷蔵庫と異世界を「日帰り」で往復する、奇妙な二重生活。
あっちで冒険、こっちで夕飯の支度。
お土産は異国の美少年に、規格外のトラブルばかり。
けれど、その小さな背中には、決して譲れない「ある約束」が背負わされていた。
これは、滋賀県・膳所高校に通う私の、高校3年間の身に起きた奇跡の記録。
時空を超えて紡がれる、母と娘の、二度目の家族の物語。
更新は火曜・金曜20:00。