【第1章】
「お前の代わりなどいくらでもいる」
五年間尽くした婚約者にそう言い捨てられ、雨の中を彷徨っていた侯爵令嬢アネット。
行き倒れかけた彼女を拾ったのは、社交界で「氷の公爵」と恐れられるルシアンだった。
「行く宛がないなら、うちに来い」
無愛想で冷たいはずの公爵は、なぜかアネットを手放そうとしない。
荒れ果てた庭の管理を任されたアネットは、隠していた不思議な力——植物に命を与える「緑命の力」で、十年間枯れていた庭を蘇らせていく。
「お前の代わりはいない」
氷のように冷たい声で、けれどどこまでも温かく。
不器用な溺愛が、捨てられた令嬢の心を少しずつ溶かしていく——。
婚約破棄×溺愛×不器用ヒーロー。
捨てた男は後悔し、拾った公爵は二度と離さない。
【第2章】
プロポーズの翌朝、王宮から届いた一通の勅命。
アネットの「緑命の力」を知った国王は、荒廃した北方領土の復興を求めてきた。
王宮に渦巻く陰謀。力を私物化しようとする宰相。
立ちはだかる困難の中、アネットは自らの意志で荒野に立つ。
「お前を一人で行かせるつもりはない」
不器用な公爵は、法律と知略と——握った手を離さない覚悟で、
大切な人を守り抜く。
枯れた大地に命を灯すのは、緑命の力だけではない。
信じる心と、傍にいるという約束。
これは、捨てられた令嬢が自分の足で立ち、
氷の公爵が心の氷を溶かすまでの——愛と再生の物語。