高校生・浅海遊太には人生を救われた推し作家がいる。
バイト先の先輩・九条紗夜にその作家への感想を語っていたら――ある日なんと彼女がその作家本人だと判明した。
彼女が正体を秘密にしていたのは、自分に自信が無いせい。
家族にも世間にも否定された彼女は作家としてスランプに陥っていた。
「私には小説しかないのに。書けなくなったら何もない」
「――もう……諦めて家に帰るしかないのかなぁ……」
そんな暗い顔をする彼女に、遊太は首を振る。
「いや――紗夜さんの作品は面白いですよ」
そんな言葉や行動で彼女を助け続けた結果。
気づけば紗夜さんはお隣に引っ越してきて、毎晩うちのキッチンに立ち、母公認でお弁当まで作ってくれる関係になっていた。
「私、浅海くんがいないとだめかもしれない……」
自己否定していた先輩が、だんだん我が家の日常に溶け込んでいく。
お人好しな後輩が自信をなくした推し作家を助けたら、外堀が順調に埋め立てられていく話。
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