「万能ポーションを飲ませたのに、冒険者が倒れた?」
過労死した病院薬剤師・藤森真央は、チートなしの「凡人枠」として剣と魔法の異世界へ転生した。もらえた特典は読み書きだけ。剣も魔法も使えない。あるのは前世で二十年近く積み上げた薬の知識と、秤、乳鉢、ラベル、薬歴帳だけだった。
配属先は王都中央治療院。そこでは回復魔法とポーションが奇跡のように扱われていた。だが、薬棚にはラベルがない。投与量は「一口」「一本」「たくさん」。誰が何を飲んだかの記録もない。強力なポーションを飲めば飲むほど早く治ると信じられ、治ったはずの冒険者が次々に倒れていた。
マオは叫ぶ。
「薬は効きます。だから、間違えると人を殺します」
薬歴帳、ラベル、飲み合わせ注意表、製造番号、販売停止と回収対応。前世では当たり前だった地味な薬事管理が、異世界では命を守る仕組みになっていく。
チート錬金術師の万能ポーションは、本当に万能なのか。
これは、奇跡を起こせない凡人枠の薬剤師が、奇跡扱いされていた薬を「安全に使える薬」へ変えていく物語。