2026年5月20日17時01分。東京メトロ有楽町線・豊洲駅に停車した車内で「妊婦の破水」が発生し、非常停止ボタンが押された。日常のありふれたトラブル――誰もがそう思った直後、地下空間を凄まじい地鳴りのような衝撃音が襲う。
悲鳴すら聞こえぬ沈黙の中、地下からの脱出者はゼロ。死者3
000名、負傷者6
000名以上を出した「臨海エリア大規模全滅インシデント」が幕を開けた。
検死によって判明した犠牲者たちの死因は、毒ガスでも爆発でもなく、内耳の破壊と内臓破裂。それは、地下の密閉空間を駆け抜けた、軍用兵器をも凌駕する「超低周波の巨大な空気振動」によるものだった。そして、最も凄惨な損壊を見せた爆心地は、あの妊婦がいたホームだったという。
一体、あのホームで何が産まれ、何が鳴り響いたのか?
事件の真相を追う中で浮上するのは、千葉県房総半島の山奥に眠る禁忌の池「魚宿三潴(ぎょすくみづま)」にまつわる、過剰で異質な子宝信仰。そして、昭和49年にその池で発生した、「テレビ史最大の生放送事故」の記憶だった。