かつて「すべての人が魔法を持つべきだ」と唱えた一人の天才魔法師がいた。
その理想は、階級社会にとっての脅威とされ──彼は異端として封印された。
四千年の時を経て、封印が解ける。
彼の姿は、少女となっていた。
かつての名を捨て、彼女は新たな名を名乗る。
――ルシア・フェーン。
現代の人々は魔法を当たり前のように使い、自由に生きている。
それは、かつて彼女が夢見た理想そのものだった。
けれど世界は変わっていても、人の心は、まだ分からない。
だから彼女は歩き出す。
誰にも知られず、誰にも縛られず、この世界を見届けるために。
これは、封印されし魔女が再び世界と出会う物語。