八十年以上の人生を生き、家族に囲まれて天寿を全うしたアメリア・ローデン。
ところが死後、頼りない神から告げられたのは、かつて自分が追放された国が滅び、その百年後には世界まで滅びるという話だった。
世界を救うため、十八歳の自分へ戻されたアメリアに与えられた仕事は一つ。
悪役令嬢として断罪される公爵令嬢クラリッサと、王太子ユリウスを無事に結婚させること。
だが、一度目の人生を振り返ってみれば、どうにもおかしい。
公爵家の紋章を押した脅迫状。命を奪うには中途半端な毒。いつの間にか内容の変わった証言。
そして何より――クラリッサ本人は、何もしていないと言う。
ならば、まず事実と推測を分けよう。証言は記録する。封蝋の出所を追う。毒物の入手経路を調べる。聖典にも矛盾があるなら、古い写本まで遡ればいい。
ところが調べれば調べるほど、事件は妙な方向へ転がり始める。
捕まえた者たちは、誰にも命じられていない。互いの存在すら知らない。
それなのに皆、同じようなことを口にする。
「原作通りにしただけです」
――では、その『原作』とは一体何なのか。
世界を救う使命より、自分で決めた期限の方が気になる八十歳越えの元お取り巻き令嬢が、証拠と記録と少々の苛立ちを武器に、悪役令嬢の断罪と世界の筋書きをひっくり返していく物語。
※全9話完結(脱稿済)です。
※毎日19時頃に更新予定です。