それはイングランドが王領から王国へと移り変わり、まだカトリックに統べられていた金雀枝の時代。
戦争によって指を失ったジェイデンは、力尽きて行き倒れる最中だった。
行く当てのない彼に手を差し伸べたのは、見知らぬ少年。
「父さま、母さまの夫を殺しに行きませんか?」
十年前、ただ一晩だけ愛し合った姫君マーガレットとの息子だと言い、母親の夫を殺してほしいと訴える。
ジェイデンとの子を身ごもったマーガレットは、老商人の後添いとして不遇の身になっていたのだ。
愛した姫君を窮状から救わんと、罪を犯す決意を固めた。
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