宮廷結界保全部の技師リネットは、武勲第一の婚約者ユリウスから「地味な保全部の女では見栄えが悪い」と婚約破棄され、慢性的な漏水と結界不良で有名な北辺第七砦へ左遷される。
だが彼女には、前世で設備保全会社の工程管理として働いていた記憶があった。壊れた屋根、詰まった排水路、湿気た穀倉、歪んだ防壁。彼女にとって壊れた砦は、むしろ宝の山だった。ひとつ直すたびに兵站が回り、街が潤い、人が戻る。一方、彼女の点検簿を軽んじた王都では、派手な増築と見栄の運用で結界が静かに限界へ向かっていた――。
これは、婚約破棄で辺境へ飛ばされた宮廷結界師が、修繕と段取りで雨漏り砦を最強の防衛都市へ変えていく再建逆転譚。