華がないと蔑まれ、便利な道具として扱われる日々だった。
ヴィオラは婚約破棄を告げられた夜、王子から信じられない命令を受ける。
君が管理している荷物は邪魔だから、一つ残らず持って出て行けと。
その言葉に従い、彼女は実行した。
自身の服だけでなく、城の家具も、書類も、宝物庫の金貨も、予備の武器に至るまで。
管理権限を持つ全ての物品を、無限の収納魔法に収めて国を去ったのだ。
身一つで隣国へ渡った彼女が出会ったのは、ゴミ屋敷の中で行き倒れていた美貌の天才魔導師。
生活能力ゼロの彼を、ヴィオラが得意の整理整頓と温かいスープで救ったとき、運命が大きく動き出す。
城の中身を失い機能不全に陥った祖国からの追手と、不器用な公爵から向けられる重すぎる執着。
物理的に空っぽになった城と、優しく満たされていく心。
果たして彼女は、自身の幸せをどこに収納するのだろうか。