高校2年の始業式の日、藤宮蒼太の隣の席に座ったのは、話しかけた男子は残らず撃沈したと噂される学年一の美少女秋月凛だった。
平凡な蒼太とは、この先も関わりのない相手、そう思っていたはずなのに....
「……藤宮の言う突き当たりは、さっきから増えている」
学年一の美少女は、自分の学校の中でも迷う筋金入りの方向音痴だった。
誰にも言わないと約束したその日から、蒼太のスマホには場所の名前だけの連絡が届くようになる。迎えに行けば秋月は「たまたま」と言い張り、そのくせ甘く巻いた卵焼きにはしれっと箸を伸ばしてくる。
「……卵焼き、デザート」
「造語するな」
【……迷ってない】
【迷ってないなら送ってくるなよ】
体育祭の二人三脚では自分から腕を組んでくる。梅雨には同じ傘に入って帰り、夏休みが近づくと「迷った時だけ」と決めたはずの連絡がそうでもなくなっていく。
夏祭りに文化祭に修学旅行。清水寺で迷子になった秋月を、蒼太は電話の声だけで連れ戻す。帰りの新幹線では、わざわざ隣の席へ移ってきた秋月がそのまま肩にもたれて眠ってしまう。クリスマスにはマフラーを贈り、風邪で寝込めば秋月が見舞いに来て額に手を当ててくれる。春には一言で断られた隣の席が、気づけば蒼太の家の台所に並んで立っている。
幼馴染のひなたに、なんでもお見通しの白河つぐみ、ひたすら騒がしい親友の桐生。にぎやかな面々に囲まれて、隣の席の二人は春から次の春までを過ごしていく。絶対にデレない秋月さんと、その「たまたま」を真に受けてしまう藤宮くんの、隣の席から始まる四季のラブコメディ。
秋月の「別に」が少しずつ嘘になっていくのを、たぶん、俺だけが知っている。
四季を巡る、一年の物語。
――絶対にデレない彼女の、デレ方を知らない不器用な恋。
8/25 1万pv突破!
9/25 皆様の応援への感謝として1話から追加加筆などを含めた改稿を行う予定です。出来次第、章単位で変更をしていくのでお待ちいただけると嬉しいです。
こんな話を見たいなど感想を1話にいただければ追加検討もします!
11/2 2万pv突破!