植物生理学の研究者だった森下芽衣は、実験中の事故で命を落とし、異世界の伯爵令嬢リディア・フォルスティアとして目覚める。
しかし彼女が使える魔法は、草木を少し元気にするだけの地味な植物魔法。王都では「無能」「聖女の足元にも及ばない」と笑われ、ついには婚約破棄され、枯れた辺境へ追放されてしまう。
だが、追放先の荒れた畑を見たリディアは気づく。人々が“呪われた土地”と呼ぶその場所は、呪いではなく、土壌と水脈と植物相が崩れているだけだった。
「呪いじゃない。これなら、治せる」
雑草は薬に、根は土を守る力に、観察と小さな実験は村を救う一歩になる。
これは、無能と呼ばれた元植物博士の令嬢が、辺境の畑を蘇らせ、薬草院を作り、やがて王国そのものの病を見抜いていく物語。