──触れないと決めた手が、恋を知らないふりをする
王子に婚約を破棄され、追放された公爵令嬢アセリア。
辿り着いたのは、屋根も壊れた名もなき田舎の村だった。
傍にいるのは、忠実で無表情な執事ハルムただ一人。
彼はいつも一歩引いた場所から、
土にまみれながらも前を向こうとする彼女を、静かに見守っている。
触れれば壊れてしまいそうだから、触れない。
名を呼べば、距離が縮んでしまうから呼ばない。
それでも、視線だけは離せない。
守ることだけを選び続ける彼の想いに、アセリアはまだ、気づいていない。
荒れ果てた村で始まるのは、
主従という名の言い訳で距離を保つ、
不器用すぎる恋の物語。
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