「……夢を壊すようで大変申し訳ないが……、少なくとも俺……、安倍晴明が式神を操り、鬼や怨霊を退治したという正式な記録は残ってない。よってそれらのほとんどは、後世で脚色されたフィクションだ」
どういう因果か、稀代の陰陽師、安倍晴明として平安の世を生きた記憶を持つ大学生、安倍晴朗(あべはるあき)は、今世は陰陽師としての責任やしがらみからは一切関係のない普通の人間として、平穏自由に生きていくと誓っていた。
しかし彼の元に舞い込んでくるのは現代に蔓延る怪異の謎や、自称陰陽師を名乗る怪しい者たちの陰。
同じように過去世の記憶を持つ青年、賀茂保憲(かもやすのり)とともに、
一千年の刻を越えて、再び交じり合う因縁と向き合っていく、因果応報のホラー綺譚。
・一部史実を元にした創作です。