前世は、三十三年間、戦場をファインダー越しに記録し続けた女だった。
誰の痛みにも寄り添わず、誰の人生にも干渉せず——そして誰にも看取られることなく、一人で死んだ。
気づけば転生していたのは、乙女ゲームの悪役令嬢・セレスティーヌ・ヴァルモン。
断罪され、追放されるという破滅の運命を背負った存在。
だから私は決めた。
「誰にも近づかない。物語の構図を壊さないために、私は永遠にフレームの外側に立ち続ける」
愛する弟妹を突き放し、婚約者に嫌われるよう振る舞い、善意の行動を悪意に誤読されても沈黙を選び——
完璧な冷酷な悪役として、誰の記憶にも残らずにこの世界から消えていくために。
ただ一人、氷の公爵と呼ばれた男だけが、私の嘘を最初から見抜いていた。
「お前は、誰も傷つけたくなかったんだろう」
——誰も傷つけたくなかったのに。
私は、全員を傷つけていた。
(悪役令嬢×善意の自己犠牲×異世界転生 全年齢・ハッピーエンド)
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