前世は天才パティシエ、今世は伯爵令嬢のレティシア。
ある日の夜会で、婚約者の侯爵令息クラウディオから突然の婚約破棄を突きつけられる。
その理由は「菓子は肌を汚す」「霞（かすみ）だけを食べて生きる美女こそが至高」という、あまりに理不尽で狂ったものだった！
実家からも勘当され、魔獣が巣食う辺境の森へ追放されたレティシア。
しかし、彼女はめげなかった。
「これでしがらみなく、大好きな最高のお菓子が作れるわ！」
森で伝説の食材『魔蜜蜂のハチミツ』や『天空麦』を手に入れた彼女は、さっそく絶品パンケーキを焼き上げる。
その甘い香りに釣られて現れたのは――国一番の恐ろしい「魔公爵」こと、ジークフリートだった。
「……味がする。砂の味じゃない、甘い味がするぞ……！」
とある呪いで味覚を失っていた公爵は、レティシアの菓子だけが「味」を感じられることに気づき、彼女を城へとお持ち帰り！？
「俺の専属になれ。報酬は、世界中の希少食材と……俺の溺愛だ」