なんということもない普通の家族が「勇者召喚」で異世界に召喚されてしまった。
兄、橘葵二十八歳。一流商社のバリバリエリートのちメンタルに負担を受け退職後、一家の主夫として家事に精を出す独身。
姉、橘桜二十五歳。出版社に勤める美女。儚げで庇護欲をそそる美女。芸能人並みの美貌を持つオタク。あと家事が苦手で手料理は食べたら危険なレベル。
私、橘菊華二十一歳。どこにでいもいる普通の女子大生。趣味は手芸。
そして……最近、橘一家に加わった男の子、右近小次郎七歳。両親が事故に亡くなったあと、親戚をたらい回しにされ虐げられていた不憫な子。
我が家の末っ子として引き取った血の繋がらないこの子が、「勇者」らしい。
逃げました。
姉が「これはダメな勇者召喚」と断じたため、俗物丸出しのおっさん(国王)と吊り上がった細目のおばさん(王妃)の手から逃げ……られないよねぇ?
お城の中で武器を持った騎士に追い詰められて万事休すの橘一家を助けたのは、この世界の神さまだった!
神さまは自分の落ち度で異世界召喚が行われたことは謝ってくれたけど、チート能力はくれなかった。ケチ。
兄には「生活魔法」が、姉には「治癒魔法」が、小次郎は「勇者」としてのチート能力が備わっているけど子どもだから鍛えないと使えない。
私には……「手芸創作」って、なにこれ?
ダ神さまにもわからない能力をもらい、安住の地を求めて異世界を旅することになった橘一家。
兄の料理の腕におばさん軍団から優しくしてもらったり、姉の外見でおっさんたちから優遇してもらったり、小次郎がうっかりワイバーン討伐しちゃったり。
え? 私の「手芸創作」ってそんなことができちゃうの?
そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。
※更新は不定期です
※「アルファポリス」様、「カクヨム」様にも掲載しています
※ゆるい設定でなんちゃって世界観で書いております。