現代日本で不慮の事故により命を落とした女性は、記憶を持ったまま異世界に転生した。
王族として生まれた彼女──ロザリアは、若くして〝大公〟の爵位を与えられる。
そして、元敵国から接収した、海に囲まれた孤立領地の運営を任されることとなった。
「拝命致します」──美しく、凛とした姿で王命を受けたロザリア。
しかし、彼女の頭の中では、前世で得た歴史の知識がぐるぐると巡る。
敵国の領地、海で隔たれた島──反乱が起きれば、確実に死ぬ。
夢や希望ではなく、現実的すぎる恐怖が先に浮かぶ。
治安維持、衛生改善、税制改革、法整備。
生き延びるため、反乱を起こさないため、そして与えられた役目を果たすため。
元敵国の有能な青年を側近に据えながら、ロザリアが一つずつ積み重ねた政策は、やがて領民の生活を変えていく。
後世では、名君と語られる彼女は、今日も怯える。
「間違えたら、死ぬ。だから、良い領主になろう」
これは、〝大公ロザリアの領地運営録〟──後の名君が、どのようにして生まれたのかという、記録である。
※本作は他サイト(ハーメルン・カクヨム)にも掲載しています。