【ここが実はゲームの世界? 関係ない。俺は俺。】
ラギウス・フォン・カルゼラード。
異世界ファンタジーRPG『オールライト・オーバーライド』(オルオバ)に登場する大貴族の少年であり、中ボスだ。
彼は『呪い装備』の力に魅入られ、精神が破綻。主人公に『哀れな犠牲者』として討伐される――それが、ゲームにおける彼の『惨めな最期』。
何度もプレイされるストーリーの中で、今回も、そうなるはずだった。
ゲーム本編開始の1年前。脳内に、未来の『原作知識』が流れ込む。転生という最大の精神汚染すら乗り越えて、自らが『哀れまれて殺される』という、『屈辱』を知る。
「もう二度と、絶対に、哀れな中ボスとは言わせない」
貴族の誇りと、魂に誓う。
原作知識で見えた世界も、呪われた道具も使いこなして、成り上がると。