王都で薬師見習いをしていた少女・シオンは、“貴族のための薬”を孤児や獣人に使ったことで追放される。
行き場を失った彼女が辿り着いたのは、灰色の霧に包まれた辺境都市――ルーメン。そこは、疫病、貧困、種族差別によって崩れかけた街だった。
人間、獣人、エルフ、ドワーフ。
互いを信用できず、誰もが「どうせ変わらない」と諦めて生きている。
けれどシオンだけは違った。
「水を綺麗にすれば病気は減る」
「灯りがあれば夜も安心できる」
「休める場所が必要」
戦う力はない。けれど、人を生かす知識がある。
狼獣人の少女ナギ、
薬草採りのエルフ・リリ、
不器用なドワーフ料理人ガルドたちと出会いながら、
シオンはボロボロの薬屋から街を変え始める。
共同井戸。
薬草園。
街灯。
温かな食堂。
誰でも休める場所。
少しずつ灯りが増えていくルーメンに、行き場を失った人々が集まり始め――。
これは、傷ついた者たちが“帰れる街”を作る物語。
そして、誰より不器用な薬師の少女が、
人の心を知っていく長い旅の物語。