白い結婚、三年目。伯爵夫人レオニーは、六歳の熱以来「病弱」と決められ、妹オーロールの輝きの陰で「動かない娘」として育った。塩商いで財を成した実家は、妹の社交界入りの前に姉を片づけるため、莫大な持参金を付けて伯爵フェリクスへ嫁がせた。夫は世間に「妻は病床にある」と触れ回り、献身的な夫の顔で慈善に励み、その足で未亡人の家へ通う。皆が、彼女が死ぬのを待っていた。
三年目の夜、彼女は初めて、階段を一段だけ下りてみた。死ななかった。庭まで歩いた。生垣の向こうで、眠れない隣の子爵ガスパールが、難産の牝馬と格闘していた。「手を貸してくれ」――誰にも頼まれたことのない言葉だった。
夜ごと歩き、馬を引き、鞍に上がるうち、脚は太くなり、掌に皮が張る。そして彼女は、夫の書庫で一つの条文を見つける。三年成就しない婚姻は妻の申立てで無効となり、持参金は妻本人へ戻る、と。
療養地への追放が決まった朝、枕の上に一枚の紙を残して、彼女は馬で出ていく。「本日をもって完治いたしましたので、退院いたします」。夫が三年間、慈善の年次報告書に印刷し続けた「寝室を離れられぬ妻」の言葉が、そのまま白い結婚の証拠になった。
復讐はしない。病人だったことにされた女が、自分の脚で立つまで。