クラペイロン公国の辺境、クレメンティ領の領主館で働く下っ端女性文官、セラフィナ・アッカルド。
彼女は『絶対に残業をしない』ことで有名だった。
仕事は速く、的確で、書類のミスもない。だが定時間際に受け取った仕事は容赦なく翌日処理分に回し、定時前には片付けを始め、定時の鐘が鳴ると同時に上司が止める間もなく帰宅する。
同僚たちは言う。仕事はできるが付き合いが悪いし融通が利かないと。
上司は言う。少しくらい残業してくれればもっと評価を上げられるし、昇格も見込めるのにと。
だが、何を言われようともセラフィナには響かない。
「残業しろ? 給料を倍にしてくれるなら考えます」
好きな言葉は定時退勤・有給休暇。嫌いな言葉は残業・早出・休日出勤。
そんな彼女の本業は、文官──ではない。
「それじゃあ今日も、作りますか! 魔鉱細工!」
《あんたも懲りないわねぇ》
嬉々として向かうは道具が散らばる作業机。白黒ケットシーのウィッカを師と仰ぎ、セラフィナは『好き』を仕事にするべくひたむきに素材と向き合う。
ただし──何事もそう上手くはいかないわけで。
「オウルよりキャットへ! デモン出現! 速やかな出動を要請する!」
「ああもう! 創作に集中させろゲテモノが──!!」
☆恋愛要素が若干入りますが、微糖です。恋愛ジャンルではありません。ご了承ください。
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