「なら、体で払うわ」
無一文で放り出された悪役令嬢は、無表情でそう言って服の紐に手をかけた。――うちは、体で払わせる宿じゃない。働いて払え。
過労死したホテル再生屋カイが、乙女ゲームの世界で営む潰れかけの辺境宿。雨の夜、壊れた護送馬車から、王太子暗殺未遂の罪で流刑となった元公爵令嬢セラフィーナが降りてきた。
家事はまるで駄目。傲慢で、礼もろくに言えない。けれど帳簿を握らせれば、国の嘘さえ数字から見抜く。
二人が宿を立て直すうち、王国に役目を押しつけられ、用済みになった者たちが《ともしび亭》へ集まり始める。辺境の小さな帳場は、やがて王国へ立ち向かう場所になっていく。
対価から始まった二人が生涯の伴侶になるまでの、宿再生ファンタジー。
※ノクターンノベルズで連載中の同名作品を一般向けに物語を構成から書き直した独立版です。本作だけで完結します。
※カクヨムにも投稿しています。